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クロサワインプロワークショップ

演技の世界には“Acting is Doing”という言葉があります。これは「演じることは行動すること」という意味です。では演技における「行動する」とはどういうことでしょうか?このワークショップではそれを学んでいきます。ご興味ある方はどうぞご参加ください。

誰のためのワークショップ?

行動としての“Acting”を学びたい役者

演技において大事なのは「本当に行動すること」です。しかし「行動する」ということへの理解が曖昧だと「行動しているふり」になったり、“Emoting”と呼ばれる「感情を演じること」をしてしまいがちです。このワークショップでは行動としての“Acting”を学びます。また行動の可能性を広げることで、より大胆な演技を目指します。

行動ができるようになりたいインプロバイザー

インプロではシーンの中で行動ではなく会話ばかりをしてしまう傾向があります。それによってシーンが小競り合いになったり、堂々巡りになることもあります。これはアメリカでは“Talking Statue”(しゃべる彫刻)と呼ばれる現象です。行動することによって物語は進みます。このワークショップでは大胆な行動ができるインプロバイザーになることを目指します。

クロサワインプロとは?

クロサワインプロは「間を取って」「行動する」ことによってシーンを即興的に作っていくワークです。その名の通り黒澤明監督の映画にインスパイアされて生み出されました。

具体的には、2人のプレイヤーと1人のディレクターによって行います。まずディレクターが極限的なシチュエーションを用意します(例:15歳の娘が妊娠したことを親に告白する)。プレイヤーは十分な間を取り、そして行動をします(例:娘を病院に連れて行こうとする)。

クロサワインプロでは会話やリアクションではなく行動をすることがポイントです。またそれが身体的な行動であれば演技はより大胆になります。例えば上の例で「病院に行きなさい」とただ言うよりも、娘の腕を掴んで「病院に行くぞ」と言ったほうがずっと大胆な演技になります。

上の例で「誰の子だ?」と聞くと会話が始まってしまいます。実際の演劇では会話が入っても問題ありませんが、クロサワインプロでは行動にフォーカスするため会話は省略して進めていきます。

また、「バカ者!」と言ってビンタをすると一見ドラマチックな行動をしているように見えますが、これはアクションではなくリアクションです。感情とそれによる反応はリアクションであり、アクションは決断を伴うものです。クロサワインプロでは感情は生まれるがままにしておき、「それでどうするのか?」という部分にフォーカスしていきます。

このように、クロサワインプロでは実際にシーンを作りながら「行動する」とはどういうことかを学んでいきます。また、他の行動の可能性を探究することによって(例:相手の家に殴り込みに行こうとする)、演技や物語の可能性も広げていきます。

私(内海)はこの手法をアメリカにインプロを学びにいった際、サンフランシスコにあるインプロシアター「BATS」のWilliam Hall氏より学びました。そしてインプロの中でより大胆な演技、物語展開ができるようになったと感じています。

以下は参考までに、クロサワインプロを説明する際によく見てもらっている動画を紹介します。数多くの黒澤映画に出演している仲代達矢氏が黒澤映画に関してインタビューを受けている動画です。最後には映画の一シーンも映されます。「間をとって」「行動する」という黒澤映画の特徴が分かりやすい動画だと思います。

参加者の感想

これまで行ってきたクロサワインプロワークショップの感想の一部を紹介します。より多くの感想はTwitterの #クロサワインプロ タグをご覧ください。(感想の中に出てくる「#正統的周辺参加」とは「だんだんと参加の度合いが増す」という学び方です。クロサワインプロワークショップは参加回数が増えるとプレイヤーだけでなくディレクターも体験できることからこのように言っています。)

Teacher

内海隆雄

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は200を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において1000回を超えるワークショップを開催している。2017年にはアメリカのサンフランシスコにあるインプロシアターBATSにてワークショップおよびショーケースに参加。またアメリカのインプロの本場であるシカゴにも行き、海外のインプロ文化にも触れる。 →プロフィール詳細