リアリズムのインプロと劇的なインプロについての覚書

毎週金曜日にやっている「演技のためのインプロワークショップ」は残り2回となりました。今回のワークショップは連続でやってきたため、これまで試したことのないこともたくさんやってきました。その中で発見したことはたくさんありますが、特に今回のワークショップで大きく明らかになったのはリアリズムのインプロと劇的なインプロの違いでした。

リアリズムのインプロは反応できることが大事

インプロで自然なやりとりを見せたいなら、一瞬一瞬反応できることが大事になる。

また、そこに(スタニスラフスキーシステムやメソッド演技のように)目的を入れるとよりシーンらしくなる。

リアリズムのインプロにはリアルなやりとりの面白さがある。また、反応でやっているため想定外のことが起こりやすく、そこで爆発的に面白くなったりする。

劇的なインプロは待てることが大事

反対に、劇的なインプロでは反応しないことが大事になる。なぜなら劇的なインプロは生きるか死ぬかといった大きな状況を扱うため、そこで習慣的な反応をすると日常サイズに戻ってしまうから。

劇的なインプロでは反応よりも行動が大事になる。そのシチュエーションにいる人物がどのような行動を取る可能性があるかを探求していく。

劇的なインプロには物事が大胆に進んでいく面白さがある。また、ギリギリの可能性に飛び込むと非常に興味深くなる。

どちらもできることが大事

インプロでは反応できることが大事だけど、反応しないでいられることも大事。

これらは矛盾するようだけど、しかし両立することもある。まるで必要なときに必要なことが起こるように。

そのためにはどちらもやっておく必要がある。リアリズムに偏ると物事は進まないし(揉め事のようなインプロになる)、劇的に偏るとやりとりが薄くなる(プレイヤーが見えすぎるインプロになる)。

正解はない。しかしだからこそ面白いのだと思う。

残り2回はまとめ回です

演技のためのインプロワークショップの残り2回はまとめ回となります。1回目は「一瞬一瞬に生きる」をテーマに反応できるようになるインプロを扱い、2回目は「物事を進める」をテーマに行動できるようになるインプロを扱います。まとめ回ですが単発での参加も全く問題ありませんので、ご興味ある方はどうぞご連絡ください。

最後までどうぞよろしくお願いします。

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において300回を超えるワークショップを開催している。2017年にはアメリカのサンフランシスコにあるインプロシアターBATSにてワークショップおよびショーケースに参加。またアメリカのインプロの本場であるシカゴにも行き、海外のインプロ文化にも触れる。 →Twitter