キース・ジョンストンのアクティングの特徴である「ステータス」という概念は脚本芝居でそのまま使えるかというと微妙なところだけど、俳優訓練としてはとても重要なものだと最近改めて思うようになった。そしてそれはノンアクターにとっても役に立つし、なんなら感情開放よりも重要かもしれない。
感情の変化はできるけどステータスの変化はできない人は「感情が豊かな人」にはなれず、「感情の起伏が激しい人」になってしまう。いつもどこか戦っている・抵抗している感じが残ってしまう。反対に、感情の変化はできなくてもステータスの変化はできる人は「クールだけど気配りのできる人」になる。それはそれでかっこいい。
最近はオープンなワークショップを始めたこともあって、インプロが参加者の人生にどのように貢献できるかということを考えている。普段の生活でイライラを抱えた人が演劇ワークショップに来て感情を出してスッキリして帰る、みたいなことをやってもあんまり意味がない。それよりも普段の生活でイライラしないような自分になっていくことの方が大事だと思っている。
僕がインプロのワークショップをするにあたって一番シンパシーを感じているのは合気道のワークショップなのだけど、ここらへんは本当に合気道と似ている。「勝てる人」になりたいなら総合格闘技をやった方が早い。けれど、「戦わない人」になりたいなら合気道をやった方が早い。