10月26日(土)ベーシック・インプロワークショップふりかえり

先週はベーシック・インプロワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

今回のテーマは「安全な場所を作る」でしたが、少人数だったこともあり、そこからさらに自分の癖を発見し、別のパターンに挑戦できる時間となりました。以下ワークショップのふりかえりです。

失敗してもハッピーでいること

インプロで大事なことは失敗しないことではなく、失敗してもハッピーでいることです。失敗してもハッピーでいれば、その場所はもっと失敗できる場所になっていきます。失敗して落ち込むと、その場所は失敗できない場所になっていきます。

“First thing is to learn how to fail and stay happy, and then we can teach you the stuff.”
―― Keith Johnstone

「まずはじめに、失敗してもハッピーでいることを学ぶこと。そうしたら、私たちはあなたに教えることができる。」
―― キース・ジョンストン

安全に学べる場所を作る

今回は「イルカの調教ゲーム」を行いました。人に何かを教える人にとって、とても示唆に富むゲームだと思います。このゲームではイルカが自由に動き回るからこそ、イルカは学ぶことができます。イルカが失敗を恐れていては、何も学べなくなってしまいます。

安全な場所を作ることは、「どうしたらイルカが自由に動き回れる場所を作れるか」という問いと重なっています。そしてそのためには周りの人の暖かい視線が必要であると同時に、イルカ自身の好奇心も大事になります。チャレンジをする人とそれを見守る人。その相互作用が安全な場所を生み出すのだと思います。

とりあえずやってみて、フィードバックを得る

インプロの学びは「やり方を教わって、それを習得していく」ものではなく、「とりあえずやってみて、フィードバックを得る」ものです。

自分がやったことが相手にどう影響を与えているのかを見る。それが響いているならそのままでいいし、響いていないなら何かを変える。そしてそのトライ&エラーをするためにも、やはり安全な場所が必要になります。

自分と相手の交わるところを広げる

今回のワークショップでは、「自分と相手の交わるところを広げる」がテーマのひとつとなりました。

インプロの特徴に「(自分本位ではなく)相手本位で演じる」ところがあります。これは相手が求めるキャラクターや反応を演じる、ということです。しかし、だかといって自分を犠牲にしていては自然に演じることはできません。我を張らず、嘘もつかず、交われるところを見つけ、それを広げていく。インプロで学ぶコミュニケーションはこのような特徴があります。

InformationとEmotion

コミュニケーションには情報的なこと(Information)と感情的なこと(Emotion)があります。

社会においてはInformationのやり取りが重視されますが、実際にはEmotionのやり取りも重要なものです。今回のワークショップではジブリッシュ(めちゃくちゃ言葉)を通して、いかに人がEmotionのやり取りをしているか(反対に、それを無くすと不自然になるか)についても見ていきました。

今回のワークショップでやったゲーム

・名前を呼ぶ
・名前とタッチ
・元気が出るゲーム
・イルカの調教ゲーム
・パークベンチのシーン
・自分の話を聞く
・ギブ&テイク
・ジブリッシュジョーク
・ジブリッシュシーン

次回のベーシック・インプロワークショップは11月23日(土)に荻窪で行います。

次回は「演劇の知恵」をテーマに進めていきます。音楽が音の芸術、ダンスが動きの芸術だとしたら、演劇は関係の芸術だと思います。だから演劇には関係を見る・作るための様々な方法があります。それらを体験的に学んでいく時間にします。

演劇経験の無い方でも大丈夫です。また、インプロをある程度やっていて、演劇について学びたい方にもおすすめの回です。

今回参加してくださった方もどうぞ引き続きご参加ください。各回完結ですので、次回が初めての方でも大丈夫です。みなさまのご参加をお待ちしています!

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において300回を超えるワークショップを開催している。2017年にはアメリカのサンフランシスコにあるインプロシアターBATSにてワークショップおよびショーケースに参加。またアメリカのインプロの本場であるシカゴにも行き、海外のインプロ文化にも触れる。 →Twitter