一昨日はベーシック・インプロワークショップでした!参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。
今回のテーマは「演劇の知恵」でした。音楽が音の芸術で、ダンスが動きの芸術だとしたら、演劇は関係の芸術だと思います。だから演劇には人間の関係を見る・作るための方法があります。今回のワークショップではそのいくつかを紹介しました。以下ワークショップのふりかえりです。
まずは失敗について学ぶことから
「インプロの基本とは何か?」と問われると案外答えるのは難しいものです。なぜならインプロは複合的なものだからです。しかし「インプロで最初に学ぶことは?」と問われれば「失敗を楽しむこと」と答えられます。
インプロは失敗しながら学んでいくものです。だから失敗を恐れていては何も学べなくなってしまいます。失敗を恐れなければ、私たちはもっと学ぶことができます。
ステータスの役割
演劇の知恵の1つ目は「ステータス」について扱いました。今日はステータスを作るだけではなく、「どのような場合に高い/低いステータスが有効か」という点についても探究していきました。
高いステータスは物事を決めるには有効ですが、ひとたび意見が食い違うと争いになってしまうこともあります。反対に、低いステータスは争いを避けるには有効ですが、物事を決めるのは苦手という特徴があります。
しかしこの特徴もまた相手や状況によって微妙に変わってくるものです。インプロでは「この方法が正解」と決めるのではなく、より柔軟にふるまえることを目指していきます。
自分は相手をどのように見ているか
演劇の知恵の2つ目は「エンダウメント」について扱いました。エンダウメントは「自分が相手をどのように見ているか」です。
現実において人は誰に対してもエンダウメントを持っています。しかし舞台の上ではそれを無くしてしまいがちで、すると人間関係は不自然なものになってしまいます。今回は色々なエンダウメントを試してみました。
エンダウメントは悪く言えば「レッテル」や「偏見」とも言えます。しかし人に対して全くレッテルを貼らずにいることも不可能です。レッテルを貼っている自分に気づき、他の可能性も試してみる。それが現実的な対応であり、演劇はそれを可視化するものだと思います。
目的と行動
演劇の知恵の3つ目は「目的と行動」について扱いました。人間は誰しも目的を持っていて、それを達成するために行動をしています。そしてその目的と行動がその人のキャラクターになります。
今回はキース・ジョンストンの「ファストフード・スタニスラフスキー(リスト)」を使って、様々な人の目的と行動を試してみました。
慣れないうちは「こんな行動を取ったらおかしいのでは」と考えてしまいがちですが、いざやってみると意外と大丈夫だったりするものです(特に舞台の上では)。インプロでは「とりあえずやってみる」という姿勢でチャレンジし、そこから学びを発見していきます。そのためには、やはり失敗できる場所があることが前提になります。
今回のワークショップでやったゲーム
・物の場所を当てる
・キネティック・ダンス
・名前を呼ぶ
・ロボットゲーム
・リア・ハンド・ホップラー
・ステータス・パーティー
・ステータスを使った会議
・ステータスを使ったシーン
・エンダウメント・カード
・エンダウメントを使ってエレベーター
・エンダウメント・パーティー
・ファストフード・スタニスラフスキー
・バニバニゲーム
次回のベーシック・インプロワークショップは12月21日(土)に高円寺で行います(次回は第四土曜日ではなく第三土曜日に行います)。
次回は「思い通りにならないことを楽しむ」をテーマに進めていきます。インプロを学ぶことは「分からない」や「難しい」に対する考え方を変えていくことだと思います。「分からないからやめておく」「難しいからやりたくない」ではなく、「分からないからこそ可能性がある」「難しいからこそやりがいがある」と考えられる自分に変わっていきます。
これはインプロの基本的なあり方であり、同時に究極的なあり方だと思います。
今回参加してくださった方もどうぞ引き続きご参加ください。各回完結ですので、次回が初めての方でも大丈夫です。みなさまのご参加をお待ちしています!