高校の演劇部を対象にインプロワークショップをしてきました

金曜日・土曜日はれいこさんに誘われて、高校生と幼児が劇で一緒に遊ぶという活動のお手伝いをしてきました。

金曜日に演劇部の高校生にインプロワークショップをしたら、土曜日には幼児をお招きしてもう本番というタイトなスケジュール。しかしそれでも非常に豊かな時間となった。

高校生へのワークショップは演劇としてのインプロを体験してもらおうということで、ウォーミングアップをしたあとはずっとフリーシーンを行うというものになった。高校生がやりたいシーンを始めて、途中で困ったら僕がディレクションを入れてどうにかするということをひたすらやっていた。構成としてはかなりシンプルなワークショップだったけど、内容はすごく豊かだった。「こんなことやっていいのかなぁと思わずにやってごらん」と言ったら、本当に見たことないようなシーンが連発してとっても面白かった。

高校生たちはワークショップが始まる前はふわふわしていて大丈夫かなぁと思ったけど、いざワークショップが始まると集中し、そしてお互いがさりげなく助け合っていた。最近の若者の優しさというものをすごく感じたし、彼ら彼女らが本来持っている創造性も感じられる時間になった。同時に、指導者がそれらを扱うことの繊細さというものを考えたりもした。

土曜日の本番は、子どもの前でインプロを見せたり子どものインプロを見たのが久しぶりということもあり多くの発見があった。この日は親御さんも見ていたのだけど、大人が面白がるところと子どもが面白がるところは少し違っていた。大人はインプロをしてギリギリのところに立っている人を見るのが好きだし、失敗する瞬間をとても面白がるけど、子どもはそうでもない。キースも言っている通り、子どもの興味を引き付けるのはストーリーだった。

そもそも、子どもにとっては面白いストーリーと退屈なストーリーがあるだけで、それがうまくいっているとか失敗しているとかいう判断自体をしていないのではないかと思った。以前中学校でインプロショーをしたときに「お話しが始まったら続きが気になる」という当たり前のことを再発見したのだけど、それのもっと純粋な形を見たような気がした。

この日はれいこさんの巧みなファシリテーションもあり、子どもたちは劇遊びの中でどんどん物語を語っていた。そして物語を語る上ではこういった感性がとても大事なのだろうと思った。

僕は子どもの感性至上主義ではないので、別にそれが「いい」とか「わるい」とかいうことは思っていない。そもそも、子どもは「いい」「わるい」をつけていないという話なのに、大人がそれに「いい」「わるい」をつけるのは野暮というものだろう。ただ、そういう世界もあるのだなぁということは感じたし、自分もそういう世界に生きられるようにしたいなぁということは思った。

世界は広く、未知は様々な方向に広がっている。そして探求は続いていく。

1985年横浜生まれ。東京学芸大学に在学中、高尾隆研究室インプロゼミにてインプロ(即興演劇)を学ぶ。大学卒業後は100を超えるインプロ公演に出演するほか、全国各地において300回を超えるワークショップを開催している。2017年にはアメリカのサンフランシスコにあるインプロシアターBATSにてワークショップおよびショーケースに参加。またアメリカのインプロの本場であるシカゴにも行き、海外のインプロ文化にも触れる。 →Twitter